【雑学】合気道昇級・昇段証書の文言について
少し前に昇級の証書を配りました。 実は合気道の昇級・昇段の証書の文言はレベルによって微妙に違っていて味わい深いので、その違いについて書いてみます。
証書の文言
段・級 | 文言 |
---|---|
級の場合 | 證 山田 太郎 右者 今般 合気道 ◯級ヲ授与ス |
初段〜四段 | 證 山田 太郎 右者 今般 合気道 ◯段ヲ允可ス |
五段以上 | 證 山田 太郎 右者 今般 合気道 ◯段位ニ列ス |
用語
あまり見かけない単語が入っていますので、少し解説します。
- 「證」は「証」の旧字体です。つまり、これが証明書であることを示しています。
- 「今般」は「このたび」という意味です。
- 「允可ス」は「いんかす」と読みますが「許可する」という意味です。
文言の解釈
用語を踏まえて文言の違いを考えてみましょう。
これらの解釈は個人の見解です。
級の場合:「XX級を授与す」という文言は単純に級に合格したことを証明しますよという意味になりそうです。
つまり、これは(技量の)証明書です。
初段〜四段の場合: これらの段位になると「段を允可す」と文言が変わります。級と違ってこれが何らかの許可を与える証書であることがわかります。通常、有段者は下位の人たちを指導することができると考えられていますので、そのための許可と考えるのが良さそうです。
つまり、これは免許証です。
五段以上の場合: これらの段位になると表現が「段位に列す」となります。これはこれらの段位が上位者から与えられるものではないことを示しています。証書はその段位を持つ指導者と認めメンバーに加えたられたことを示します。
近い概念が何か難しいのですが、称号に近いものでしょうか?
五段以上の段位は、毎年正月の鏡開式で昇段の発表があり、本部道場で証書を直接受け取ることができるのですが、鏡開きに来ていた海外の方が、証書を「Diploma」と表現していてなるほどな、と思ったことがあります。
余談
筆者はずっと級位・段位の証明をする書類を「免状」と読んでいましたが、合気道では「証書」と呼ぶのが正しいようです。 そういえば「證」と書いてありますし、調べてみたところだと 公益財団法人 合気会・世界合気道本部 国際規程 でも「証書」と表現されています。
前記の解釈と照らし合わせると、初段〜四段は「免状」でも間違ってなさそうですが。